坊主狸(ぼうずたぬき)
橋際に藪があり、夜間に通る者の頭を坊主にしてしまう妖怪。
徳島県美馬郡半田町に坊主橋(ぼうずばし)という橋がある。その名の由来は、この橋を渡ると坊主狸に坊主頭にされる、神宮寺(じんぐうじ)のお坊さんが良く通っていたからなど、いろんな噂がある。実際にこの妖怪と橋の関係はどうなのか?
現地の人の話によると坊主橋と呼ばれているのは、その昔お坊さんに化けた狸が橋際で小豆を洗っていたとか、橋付近に近づくと小豆を洗う音が聞こえた等の伝説があり、とにかく橋を渡ろうとする者の邪魔をしていたということが解った。この狸に坊主頭にされてしまった者もきっといたのだろう。
後に狸が悪さをしないようにと、橋の手前にお地蔵さんを建立したらしい・・・。
『狐七化け、狸八化け』といって狸の方が狐より化け方が上手く、狐は誘惑する為、狸は馬鹿にする為に化けるのでこの伝説もうなずける。
日本妖怪研究所 妖怪特派員 故・川野和道